"Heiland - Control the Process"
インタビューシリーズ第4弾!
Heiland社 CEO Jürgen Heiland氏 インタビュー
Heilandの製品は、何年もの間、私(モーグ)の毎日の暗室作業で非常に重要なものとなっています。
濃度計を使用すると、露光と現像プロセスを非常に正確にコントロールすることができますし、スプリットグレードと引伸ばし機用LEDライトは、私の時間、紙、薬品を大幅に節約してくれて、最高の精度で印刷をすることができます。
私にとってはもうHeilandなしの暗室ライフは考えられません!
日本ではなじみの薄い社名かもしれませんが、その素晴らしさを少しでも知っていただきたく、今回は、Heiland現最高責任者技術者(CEO)であるJürgen Heiland(ユルゲン・ハイランド)氏へのインタビューをご紹介します。
その前に、少しだけハイランド社の背景をご紹介します。
ドイツ ウェッツラー(Wetzlar)市は、何世紀にもわたる高品質の光学および精密機器製造の伝統があります。ハイランド社は、そのウェッツラー市で25年以上にわたり古典的な白黒写真撮影用デバイスを製造している老舗メーカーです。
1988年、ヴィルヘルム・ハイランド氏が、TRD-2 ―“Volksdensitometer(フォルクスデンシトメーター≒一般の人のための濃度計)” ―を導入。またネガと印画紙材料への系統だったテストに関する解説書を出版しました。
ハイランド社は、ライカ・マイクロシステムズ、シュナイダー·クロイツナッハ、ライカカメラAGのための特別なデバイスを製造しています。アナログ撮影は死んだと宣言された時でさえ、TASフィルムプロセッサや引伸機用のLEDライトといった新製品を作り続け、今に至っています。
Silversalt: ハイランド社は、写真愛好家がデンシトメーター(濃度計)を使うことを可能にした会社です。それはいつ、どのようにして実現したのでしょうか。
Jürgen Heiland: ハイランド社の創業段階では、当初、活動の中心を、エレクトロニクス開発および建設の分野におけるサービスにおいていました。ハイランドの社名のとおりです。
まもなく私たちは、会社の長期的な存続を可能にするものは自社製品だけだということに気づきました。
1980年代は、ドイツ語圏に多くの商業・アマチュア写真家がいて、各々自身の白黒ラボを持っていました。 彼らは光化学プロセス(現像薬品プロセス)を制御するための、光学的な濃度測定の高い費用対効果の可能性に、大きな関心を持っていました。
当時、老舗メーカーのデバイスは、多くの場合、色測定装置に由来していたため非常に高価なものでした。
そこで、熱烈な白黒写真家だった父と協力することで、密度表示を備えた既存の実験器具を、濃度計に拡張するというアイディアが生まれました。そして、この目的のために、非常に安定した光源、適切な光学システム、および光センサのための遮光マウントが必要になりました。
ウェッツラー エルンスト・ライツ(ライカ)での訓練や活動で得た、私と父双方の知識、これは実現のために不可欠な前提条件としてあり、私たちは我々のプロジェクトをスタートさせました。
市場への打ち上げ成功から2年後、我々は、独立した費用対効果の高い測定装置を製作するため、精密メカニックおよびデザイナーとして父Wilhelm Heiland(ウィルヘルム・ハイランド)と、最小のライトストリーム測定での私の経験との共同の専門知識を活用するに至りました。
こうして誕生した濃度計(デンシトメーター)は、常に新しい技術開発を取り入れたシリーズとして、これまで2000台以上が世界中に供給されています。
Silversalt: デジタル写真の登場後も、ハイランド社はアナログ市場への強い関心を示してきました。この縮小セグメントであるフォトグラフィ分野をあきらめなかったモチベーションはどこにあったのですか?
J.Heiland: デジタル写真の時代が始まって以降もアナログ写真に残留したユーザーの間では、フィルム写真の将来の見通しについて、多くの不確実性がありました。
メーカーとして我々も影響を受けました。プロの写真家や反対意見を持つ人たちから、多くの論争が起こりました。
純粋に経済的な意味では、ますます縮小するアナログ市場を放棄することが、理にかなっていました。
しかし、主な議論は、小さな構造を持つ企業(当社)は、新興のマスマーケットでよりも小さなニッチマーケットでのほうが、はるかに良好に生き残ることができるというものでした。
そして、2004年、我々のフォトキナの小さなイベントが、アナログフォトグラフィに向けた決定的で戦略的な意思決定のための決定的なファクタとなりました。
我々に興味を持ったある人が不安気に周りを見回し、低い声で我々に尋ねました。
「そちらではまだ暗室用製品を提供しているのですか? 」
かなり衝動的に、私は答えました。
「そうです。私たちは共に、この種の写真を前進させることに誇りを持つべきです」と。
そののち、我々は、小規模生産のテスト機器の開発、設計や特殊機器のへの関与を拡大することで、このマーケットにおける着実な売上高減少を均等化しました。
この活動の利益は、LED冷光源などの新しいデバイスの開発に充てられ、製造ランキングで当社は前面に出ることとなりました。ストーニーですが、最終的に成功した方法です。
Silversalt: Heiland Splitgrade(ハイランド・スプリットグレード)は、ストレートプリントの時間を短縮し、ペーパーと薬品を節約する、素晴らしいプロセスです。節約できた時間は、高品質プリントを制作する時間に充てることができます。 このデバイスは、趣味やプロのユーザーの間で、どのくらい普及しているのですか?
J.Heiland: スプリットグレードの特徴によれば、プロフェッショナル市場での人気は非常に高いと想定することができます。
しかし、デジタル写真の急速な普及と相まって、このシステムの導入のチャンスはプロの市場では殆どありませんでした。
スプリットグレードにとって、もっと重要なのはアマチュア市場です。販売したほぼ2000のシステムの約90%は、アマチュア市場です。最重要の決定打は、”タイム・イズ・マネー”ではありませんが、限られた時間内で制作する願望です。 例えば、ある晩、テストストリップと最初のストレートプリントだけが成果物というのではなく、1枚あるいは数枚もの高品質なプリント制作が可能になるということです。
Silversalt: 私は、LPL7700用LEDライトのプロトタイプでの作業を楽しんでいます。このLEDは、ますます人気が高まっていますし、非常に大規模な引伸ばし用の照明も構築できます。LEDの利点について、読者の方にお伝えください。
J.Heiland: 私たちのLED冷光源には多くの利点がありますので、箇条書きにしてお答えしましょう。
1.光源が、ネガのフォーマットに従って、数百から数千のLEDで構成されているため、非常に均一な照明です。2017年3月、20x24インチネガ用に、23x27インチフォーマットで光源を供給しました。15,000個のLEDがインストールされました。
2.光の強度は調整可能であり、非常に安定しています。露光の最初の1秒から最後まで、強度の逸脱は1/10 fストップ以下です。このことは、露光の繰返しや主電圧の変化にも適応します。したがって、電源のために安定器を追加する必要はありません。
3.LEDは、実際に所望する波長でのみ、コールドライトを送ります。IRやUV光は放射されないので、熱的に誘発される焦点変化はなく、また例えばガラスプレートネガのようなダメージもありません。
4.光源は静かです。8x10インチのフォーマットまでは、ファンは動作せず、より大きなフォーマットの際に非常に低速で静かなファンが動作します。これにより振動によるぶれを防いでいます。
5. 統合された赤色LEDのおかげで、安全赤色光は、スイッチをオンにしてB / W拡大を行い、印画紙やドッジツールを配置することができます。 赤色、緑色および青色を同時にオンにすることによって、光源は、実際の白色光と任意に着色された光の両方を生成し、RA4やイルフォクロム紙を照射することができます。
6.アダプタの数が非常に多いため、光源はほぼすべての引伸し機に取り付けることができます。原則として、お客様によるインストールは数分で行うことができます。
Silversalt: 現在取り組んでいるプロジェクトはどのようなものですか? 将来、どのような製品が計画されていますか?
J.Heiland: 私たちは現在、全く新しい水平引伸ばし機に取り組んでいます。
それは、レールなしで、また床を平らにすることなくセットアップが可能です。デバイスは、LED冷光源が装備され、8x10インチから最大20x24インチまでのフォーマットが利用可能です。拡大スケール、フォーカス、および高さはワイヤレスリモコンでモーター駆動します。
この水平引伸ばし機のハイライトは、ボタンを押すだけで、レーザー距離測定により投影スクリーンにデバイスを合わせることができるということです。
インタビュイー:Jürgen Heiland(Heiland)
インタビュアー:Tim Moog(Silversalt)
翻訳: 谷 薫 (Silversalt)
ハイランド社製品一覧
ハイランド LED 暗室用ライト
ハイランド スプリットグレード
ハイランド 濃度計 TRD Z
ハイランド 濃度計TRD 2