● 定着液の消耗度テスト


定着液は一度の使用で廃棄する必要はありません。そこで、定着液がまだ使用できるかどうかチェックするための、簡単なテスト方法について書こうと思います。

*印画紙用定着液の消耗度を知る場合にもフィルム片を使って同様に行うことができます。

まず最初に、基準となる時間を知っておく必要があります。
そのテストのための準備をします。

①定着原液と水とミックスして新鮮な作業溶液をメスシリンダに作ります。

②テストしたい未現像フィルムの切れ端を用意します。ストップウオッチも必要です。

<☞Point>お手持ちの定着液の消耗度をテストするためには、フィルム片は何を使っても問題ありません。大事なのは、必ず基準クリアタイムとクリアタイムのデータは同じフィルム片を使って出すことです。

<☞Point>でも、あなたが消耗度テストだけではなく、そのフィルムの定着時間も知りたい場合(下記「クリアタイムからわかる定着時間」を参照)には、現像処理するフィルム片をテストに使ってください。

準備ができたらテストを始めます。

③フィルム片を持ち、新鮮な定着液に入れ、ストップウオッチを開始します。

④フィルムから目を離さず、完全に透明(クリア)になったら即座に、ストップウオッチを止めます。

⑤定着液によってフィルムが透明(クリア)になる所要時間を「クリアタイム」といいます。
この新鮮な定着液を使って出たフィルムのクリアタイムが、最も短い処理時間(=基準クリアタイム)になります。

<☞Point>後でこの時間を基準値(基準クリアタイム)として参照するため、新鮮な定着液でテストを行ったら、データ(使用定着液名、フィルム名、希釈、基準クリアタイム)を暗室用ノートに書きとめておきます。

これで基準となる時間がでました。

⑥既に使用した定着液を再度使用する際に、定着作業に入る前に同様のテストを行います。
そしてクリアタイムが、あなたの基準クリアタイム(書きとめておいた値)の2倍になったら、その定着液は消耗していますので、新しいものに交換する必要があります。

しばしば、定着液は基準クリアタイムの3倍になるまで使用できることがあります。しかしその場合、フィルムの定着時間は非常に長くなります。

<☞Point>これら何倍という時間においては安全性において誤差があります。おそらく3倍の時間になるまで使用しても構わないことをデータが示していても、安全性を優先するのであれば2倍までで使用はやめるべきです。

このようにして、基準クリアタイムを知っておくことで、今から使う定着液の消耗度を簡単に知ることができます。

*ご注意*フィルムによって、クリアタイムおよび定着処理にかかる時間は異なります。

クリアタイムからわかる定着時間

クリアタイムから、定着処理に必要な時間がわかります。

標準的な立方体フィルム(Adox Silvermax, CHS, CMS II, コダックTri-X, イルフォードHP5 など)で、定着処理に必要な時間はクリアタイムの2倍。

平粒子(Tグレイン)フィルム(イルフォードDelta, コダックTmax など)で、定着処理に必要な時間はクリアリングタイムの3倍。

いずれの場合でも、完全なフィルム定着のために2度の定着を行うことをおすすめします。 (最初の定着液で3分、短い洗浄、第2定着液で3分)

*ご注意!*フィルムと印画紙に同じ定着浴を使用することはお勧めしません。

<☞Point>定着液が疲弊して、新しい定着液に交換する際は、停止液も同じタイミングで新しいものに交換してください。

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