現像液はみな同じではありません。
いくつかの現像液は、他のものよりも使用者に高い精度を要求するため、ビギナーが使用するには、扱い難いものとなる場合があります。
このコラムでは、ビギナーの方に特に適している現像液をお薦めしています。
が、それらはもちろん、経験豊富な暗室作業人からも非常に支持を得て、長年使用されているものです。
これらの現像液には共通する特徴が2つあります:
①時間と温度といったパラメータが正確に保たれていなくても許容してくれます。
②ハイライト領域の調整を行う補正現像液です。
ですからこれらの現像液は、あなたが暗室で非常に正確に仕事を遂行しなかった場合でも、また、正確な露出について注意を 払わなかった場合でも、ネガにそれでもまだ許容できる品質を維持してくれるのです。
“補正現像液って何?” とあなたは疑問に思うかもしれません。
補正現像液は、ハイライト領域の濃度が高くなり過ぎないように調整します。
非常に明るい部分は、ネガ上で暗い部分として示されます。このような領域では、多くの光がフィルムに届き乳剤と反応 しています。
ですから私達はこれらの領域を高濃度領域とよんでいます。光と反応した銀の濃度は、そこでは高いものになっています。
濃度が高すぎる場合、ネガはプリントするのが難しくなります。補正現像液はハイライトが到達できる濃度を制限してくれるのです。
下の写真は高濃度領域を示しています。
左側はネガです。高濃度領域は○で囲んであります。
右の写真はポジ(プリント)です。ネガで高濃度領域を示している部分は、プリントではライト部分になります。
補正現像液は、あなたが35mmフィルムで撮影する場合、特に有用です。
あなたはこのフィルムで36枚の写真を撮るこ とができますが、フレームごとのコントラストはそれぞれ違います。
私達はそれぞれのフレームを個別に現像することはできませんから、妥協点を見出さなくてはなりません。
補正現像液を使用することで、濃度範囲の調整がなされ、全ての写真のプリントが容易なものになります。
以下に、お薦めの現像液を3つ挙げます(順不同です)。
最初に私達がお薦めするのは、アドックス FX-39現像液です。
これは、ウィリー・バトラー氏のNeofinレッドに基づき、 ジェフリー・クローリー氏によって開発された現像液です。
液体のワンショット現像液で、ISO 200/24まで微粒子を保ちます。
より高感度で、粒子はより明瞭になります。この現像液は低毒性です。
次にお勧めするのは、ローライ スーパグレイン現像液です。
優れた現像液を世に輩出していることで有名なシュプール社のヘリバート・シェイン氏により開発されました。
1+9、1+12 または1+15で希釈することができる、液体のワンショット現像液です。
どちらかといえば微粒子で、素晴らしいシャープネスとアキュータンス(高鮮鋭の意:"Supergrain"の名前の由来です)を保持します。
そして、お勧めの現像液はこの限りではありませんが、少なくともアドックス アトマル49を最後におすすめします。
ロディナルと同様の歴史を持つ、非常に古典的なフィルム現像液です。
パウダー状で使用直前に水と混合する必要があります。
希釈なし、あるいは希釈率1+1か1+2で使用する、ワンショット現像液です。
粒子は非常に微細で、アキュータンス(高鮮鋭)はそれほど高くなく、ポートレイトや風景撮影に向きます。
非常に良好 な標準的現像液です。
詳しい説明は各製品ページをご覧ください:
アドックス FX-39現像液
ローライ スーパグレイン現像液
アドックス アトマル49現像パウダー